はじめに
私は2019年度から子ども会の育成会長をしていますが、子ども会に入ったのは長男が1年生になった2017年度からです。
元々、現在の地域に引っ越してきたときに、通っていた保育園から同じ小学校に友達がほとんどいなかったので、近所の同級生で知り合いが増えると喜ぶかと思って穝子ども会に入りました。
なんですが、長男入会時は小学生が13人しかおらず、当時の新1年生も長男だけでした…。
その時、穝子ども会がもっと活発になり、子ども会が地域の繋がりをつくるきっかけになれるようにしたいと思い、育成会長になってから色々と取り組み始めるようになりました。
まず、子ども会って?
「子ども会」の名前を聞いた事がある方は多いと思いますが、具体的に子ども会の目的や意義が浮かぶ方は少ないと思います。
そもそも、公益社団法人 全国子ども会連合会の説明でも漠然とした説明しかなく、特定の目的を持って設立された団体と言うよりは、ふんわりと「近所の子ども達が一緒に遊んでいる集まり」を後から「子ども会」としてまとめたのが実際のようです。そのため、それぞれの子ども会によって独立した組織として活動している場合もあれば、団体自体が町内会等と一緒になっている場合など、各子ども会によって運営も様々です。
ここではひとまず、「子ども会」を「地域の子ども・保護者を主な会員として、会員相互で子どもの健全育成に関わる団体」と定義して進めようと思います。
子ども会の組織体系
岡山市の組織図では、になりますが、全国子ども会連合会(全子連)の安全共済会(保険)に加入している子ども会はおおむね上図の組織図に当てはまります。
穝子ども会もそうですが、地域内の最も小さい単位(区分)の子ども会が「単位子ども会」となり、単位子ども会の育成代表者等から、市町村の子ども会連合会や協議会が組織されています。
組織図上では一緒に記載されていますが、基本的に単位子ども会と地区・ブロックの子ども会連合会・協議会は独立した別団体です。
子ども会を含む地域コミュニティ団体の現状
子ども会の概要は上記の通りですが、町内会等の地域コミュニティ団体と同じく、子ども会でも年々入会者数の減少や単位子ども会自体の解散が課題となっています。参考資料:https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/community/pdf/070207_1_sa.pdf
加入者数の確保のため対象者は強制的に入会となる地域コミュニティ団体もありますが、個人の価値観・考え方が多様になった現在では望ましいとは思えず、任意での加入が本来のあり方とは考えています。
そのため穝子ども会は任意の加入としていますが、入会者数は以前と比べて減少しています。
穝子ども会の現状評価(内部・外部)
穝子ども会を活発にするために穝子ども会自体の評価と、子ども会に入らない理由を知りたいと思い現状評価をしました。
入会者数・会計推移
穝子ども会だけのデータになりますが、単位子ども会の1例として実際の数字を示します。
過去10年間の会員者数では、2011年度の111人から2017年度には51人まで減少しています。
入会者数自体は、子どもだけでなく保護者や球技指導者等も含まれているため、小学生の人数はもっと少ないです(2017年度が最少で14人、その前後は20人程度でした)。
ただ、それだけではなく期首繰越金額も年々減少していました。
その理由も、会員数の減少による会費収入の減少ではなく、収支差額からは単純に予実管理の問題と思われます。
子ども会に入会していない保護者へのアンケート調査
アンケート調査は2020年度に実施し、結果については以下の記事でまとめています。
現状評価から
「輪番制での交代」「元々団体を運営している感覚が少ない」「事業計画を変更する事の負担増加」などから収益に即した予実管理が行えていない場合も多く、団体運営自体が危うくなっていました。
また、現在のwebサイトに引っ越す前のブログでも年末頃から「子ども会、役員」などの検索が増えていたことと、アンケート調査からも役員がどうすればいいのかわからない、は入会したくない大きな理由のようです。
ですが、アンケート調査結果の記事にも書いていますが地域で子ども達が楽しめるイベントや活動自体にはニーズがあり、子ども会そのものが否定的に考えられているわけではありませんでした。ただ、子ども会が実際にどんな活動をしているかについては、ほとんどの方は知らないようでした。
内容が分からない上に役員が大変とのうわさがある団体に、積極的に入りたいと思う人は少ないと思います。
開始した取り組みと効果
広報活動
2019年度からブログの運用を開始し、活動報告を回覧板・掲示板で地域の方に見てもらうなど、活動内容を知ってもらうための広報を行うようにしました。
ただ、アンケート調査からは、ほとんどの方は見ていないようでした…。
2021年度現在は、webサイトの更新、SNSの利用、新1年生のお祝い活動の実施で、活動内容を見てもらう機会を増やすようにしています。
体験学習活動の開始
定例の子ども会活動でも子ども達は楽しそうにしていますが、入会に積極的で無い方に対する請求力は正直小さいと思います。
また、現在は子どもに関わるNPO法人等の団体が実施している活動もあり、活動に参加するだけだとわざわざ子ども会に入る必要は感じないと思います。そのため、誰でもが理解しやすい子ども会のメリットとして、体験学習を充実させる取り組みを始めました。
同じ学校で近所ですが、学年・年齢も違う子ども達と一緒に体験することで学校や外の団体が実施している体験学習とは違った学習効果があると考えています。
また、新型コロナウイルス感染症のため小学校の課外活動が中止になることも多い中、小学校よりも地理的な範囲が狭く、感染症対策を実施しやすい環境のため、積極的に子ども達に体験学習を行えていることは良かったと思います。
参加した子ども達だけでなく保護者も楽しんでもらえていますし、子ども達の体験の格差を減らすと言う意味もあり、今後も続けていきたいと考えています。
参考資料
財務・会計の安定化
穝子ども会を活発にする前に、まずは団体を安定して継続できる状況にしないといけなかったため、改めて収益状況の把握を行い、予実管理を行うことにしました。
正直、今までは総会らしい総会も行っていませんでしたが、少なくとも事業報告・決算報告、予算計画・事業計画は配るようにしました。
その上で、上記の体験学習活動等の事業費は民間助成金、行政の補助金などの外部資金を調達して実施するようにしました。
まだ3年目ですが、現在の所は大きな問題も無く年間の定例活動も無事に実施できるような予算計画になりました。助成金は今後も継続して申請し、穝子ども会の魅力向上につながる活動を増やしていきたいと考えています。
今後の目標とはなりますが、会計報告についてはNPO会計基準を導入して透明性を高めた会計報告を実施したいと思います。
その他
他にも、小さい取り組みとして 子ども会活動と対応するSDGs目標の明示や、綸-rin- netと協働で情報セキュリティの啓発活動などに取り組んでいます。
これからの新しい子ども会に向けて
新型コロナウイルス感染症の流行で、子ども会だけでなく様々な団体で活動を見直す必要が出ています。ですが、これまで活動を行えていた時であっても会員数の減少や安定した管理・運営には課題があった事から、仮に従前通りであったとしても遠くないうちに活動や在り方も見直す必要は出ていたと思います。
そのため、子ども会の組織自体が持つ役割については、町内会等と同じ地縁団体の面に加え、PTA等と同じく社会教育団体としての面も持っていると考え、「地域(内外)に暮らす子ども・保護者の誰もが参加しやすく、子どもだけでなく保護者の社会的な成長にも貢献するための団体」を目指すことが、今後も子ども会を維持・継続するためには必要ではないか、と考えています。
今後に必要な取り組み
まだ実際に取り組めてはいませんが、今後取り組んでいく必要があると思うことです。
- 他団体との協働活動を進める
- 子ども会役員が行う団体運営の基本と必須事項の洗い出し
- 収益の安定化
1.については、単位子ども会が単独で行える活動には限界があるため、他団体の事業に協働団体として参加できるよう積極的に繋がりをつくるように勧めています。
2.は、子ども会だけでなくPTA等の団体でも同様ですが、役員のすることが分からない、との意見が多いです。もちろん、団体運営ですので基準となるような線引きはできませんが、今まで経験がない方でも理解しやすい団体運営の基本と、運営にあたって必ず必要な事項(予実管理等)をまとめたいと思います。
3.の収益の安定化では、事業に対する助成金の申請は行っていますが、活動の広がりに伴い一定の予備費は必要になること、事業拡大に伴い適切な管理・運営費が必要になることから、今後は安定的な収益力を高めたいと考えています。
最後に
単位子ども会だけで考える以上の内容も含まれていると思いますが、単位子ども会でも助成申請を採択してもらえる等、当初考えていた以上に活動を広げることができています。
まだ取り組む必要がある事柄は残っていますが、同時進行で単位子ども会から子ども会活動を充実させて、地域に暮らす子ども・保護者がより良く過ごせる環境を提供できるように勧めていきたいと考えています。